ストーカーリカバリーサポートの守屋です。
ここのところ増えてきている相談のヒトコマなのですが
「普段は仕事もしているし、日常生活もなんら問題なく送れている!だからストーカーではないのだ!」
と、カウンセリングをしている最中に聞かれるケースが増えてきました。
さて、あなたの思う「ストーカー」とはそこまで異常者なのでしょうか? ちょっと考えてみたいと思います。
ストーカーでは社会的機能は失われない
精神科へ通院しなければならない病気の1つ、統合失調症。
この統合失調症は幻覚や幻聴などを伴い、「宇宙人に追われている」「政府の秘密を知ってしまったから命を狙われている」などという妄想にとらわれることがあると知られています。
ほかにもさまざまな要因が絡み合って、統合失調症患者は社会的な機能を失ってしまうケースも多いんです。
まともに動けなくなってしまったり、混乱した言動をとったり。
それではストーカーという病にかかってしまっている人はどうでしょうか。
ストーカーでは実は驚くほど社会的な機能は損なわれません。むしろストーカーをおこす人というのは、非常に行動力があり、フットワークも軽い。会社の中ではバリバリ仕事をこなす”デキる人”という位置づけであるケースが多いのです。
当然ながら幻覚や幻聴、混乱した言動などを普段は取りません。本当に普通の人なんです。
「ストーカーだ!」と指摘されることに異常に反応する
ご相談を受けている中で、警察からの警告も受けており、さらには思考もストーカーのまさにそれ、という加害者の方とお話しする機会がありました。
そこで状況などを伺っていたのですが、デンジャーやポイズンを行ったり来たりしているような印象でした。
大変危険な状態であるのはすぐに理解できましたので、ストーカーのカウンセリングや治療を今後進めていったほうがいいとアドバイスをさせていただきました。しかし返ってきた答えは意外なものでした。
とにもかくにも、ストーカーだと指摘されたのが我慢ならなかったようで「そんなものではない!」と強く否定をされるのです。
しかし現状、警察から警告を受けている、付きまといやメール、LINEなどが止まらない、自分のものにしたい、などストーカーそのものの思考をしています。
ストーカーをしているときは、それを絶対に認めようとはしません。少しでも聞き入れてくれるのであれば、すぐに治療の方向に持っていけるのですが・・・
どうすればストーカーだと認めさせられる?
治療をすすめていくためには、まず本人がストーカー行為をしていると認めさせるのが先決です。しかし「認める」というのは加害者にとって非常につらい決断で、難しいものなのです。
しかもアプローチの方法は個人個人によって異なります。決まった方法、手順というものが確立されていればもっと楽なのでしょうが、現段階では話を粘り強く聞いて解決の糸口を探っていくしかありません。
ここをいかに引き出せるか、これが我々の技量の1つなのです。ストーカーだと認めさせる方法を知りたい、とこのページを開いていただいた方には申し訳ありません。
なかなかストーカーと認めさせるのは、一筋縄ではいかないものなのです。
ストーカーだと認められたとき、すでに治療へと傾いている
逆にストーカーなのかもしれない、この行動はストーカーなのかな?と加害者へ感じさせることができれば、すでに治療をする方向へと傾きかけているといっても過言ではありません。
ストーカーをしているときは、周囲の助言などは一切耳に入らず、自分が思ったことへ一直線に向かっています。その結果がストーカーとして表れてしまっていますが・・・
ストーカーかもしれない、と感じられるのであれば、あとは自らの行動を振り返って、カウンセリングをしていけば治療が始められます。
自分がしていることを振り返れるか?
ストーカー加害者からの相談をお受けするときに、1つ自分の主観ではなく、客観的に自分がしている行動などを振り返ることができるでしょうか。
LINEを1日に何百件もしている。
これは加害者の物差しで考えれば、「相手が返事をしてこないのだから当然だ」となるのかもしれません。
しかし客観的な視点から見れば「1日に何百件もLINEを送るなんて異常だ」と思うでしょう。
この考え方に違いにストーカーとそうでない人の差が表れるのです。
治療が進み、ストーカーをしているかもしれない、と気づけた方は、こうした行動を異常であると認識ができるようになります。認識さえできてしまえば、あとはストーカーをしない1日を、毎日毎日積み重ねていくだけなのです。
相手への依存をどこまで断ち切れるか
依存というものは、相手を上に見ているのか、下に見ているのか、に分かれます。
例えば元恋人などに捨てられたくない、とい思いからしがみつく。これが相手を上に見ているケース。ここで恋人などから別れを言い渡されても、納得ができず、追いかけてしまう、そして追いすがろうとしています。
もう1つは、いわゆる毒親と呼ばれるタイプの依存。自分の子供を「子供のため」と言ってすべてをコントロールしようとします。自分の支配下において、常にコントロールをしておきたい、という依存です。
これらについては、少し専門から離れるのでこれ以上は言及しませんが、どちらにしても依存を断ち切らなければストーカー行為はやみません。
その依存は、仕事も生活も普通にできるからこそ、ストーカー本人が認められないのかもしれませんね。
ストーカーをして被害者も神経をすり減らしているのに対し、加害者も自分の生活や時間、お金を削ってストーカー行為を繰り返します。ストーカーかどうか、をまず考えるより、自分がいま何をしているのか、それは一般的な視点で見てどうなのか、を一度考えてみてはいかがでしょうか。
電話での相談、カウンセリングなども受け付けておりますので、どうか自分ひとりで悩まないでください。