ストーカーリカバリーサポートの守屋です。
ストーカー規制法とGPS発信機についてちょっとお話をしてみようと思います。
さて、ストーカー規制法にはつきまといや、職場、学校などでの待ち伏せについて、ストーカー規制法違反にあたると明記がされています。
そして話を少し変えて、GPSの発信機が一般の方でも十分に手の届くお値段に、しかも精度もかなり高いものがアマゾンや楽天などで購入できる時代になりました。
迷子や車の盗難防止、探偵調査などに使われることが多いようですが、このGPS発信機をストーカー被害者の車などに取り付けた場合、ストーカー規制法で言うところの待ち伏せになるのでしょうか。
また違うところでストーカー加害者を取り締まることができるのでしょうか。
GPSでの監視が「見張り」に当たるかどうか判決が出た!
実は2020年7月30日にストーカー被害女性が、車のバンパーにGPS発信機を取り付けられていて事件について、
「GPSが見張りに当たるのかどうか」
という争点で裁判が行われていました。
そこでついに判決が出たのですが、その判決は意外なものでした。
裁判官5人全員が「見張りには当たらない」としたんです。実際にその場、その付近にいなければ見張りとならないとし、GPSの場合は遠方から場所を知るだけだ、という判断のようです。
実質的には見張りそのもの
この判決には疑問が残ります。
それはストーカー被害者がストーカー加害者にGPSを車に取り付けられて、どこに行ったのか、今どこにいるのか、を逐次監視されているんです。
これを「見張り」と言うのではないでしょうか。
GPSを悪用する立場の人間なら、人のいない場所や怪しまれない場所にいったとき、近づいて何かアクションを起こそう、と考える加害者がいるのは容易に想像できてしまいます。
しかも自宅を知られていない場合だとしても、自宅は簡単に突き止められてしまうでしょう。
事件への発展が危惧される案件のため今後是正が必要
このGPSを取り付ける行為がストーカー規制法違反にならないのであれば、ストーカー被害者にとっては自分の身は自分で守るしかなくなります。
しかしGPS発信機は小型化、高性能化が著しく、正しく使う場面では非常に便利な道具と言えます。
ストーカー被害者にとっては小さな機器を絶えずチェックして、見つけるのは難しい問題でもあるでしょう。
警察から警告が出されているようなケースでも、デンジャーとなったストーカー加害者の心理を考えればどうでしょうか。
接近の禁止がされている。でも居場所は分かっている。おそらく家には一人。などの条件が整ってしまえば、事件へ発展する可能性はかなり高くなるでしょう。
今回の判決については非常に残念です。過去に39件の同様の罪での立件があり、うち37件が懲役や罰金が確定しています。それらとの違いはなんだったのか、釈然としないものがあります。
悪用すればGPSは恐ろしい
正しく使えばこれ以上ない便利なGPS。しかしストーカー加害者が悪用してしまえば、これほどストーカー相手を捕捉しやすい機器もないわけです。
SNSなどを四六時中監視して、常に居場所を把握するのは大きな労力と時間を要します。
しかしこのGPSを取り付けてさえしまえば簡単に居場所が割り出せてしまうんですから。
ストーカー被害者にとっては、加害者のツールが1つ増えてしまったような司法判断。
ストーカーにおびえることなく、被害者が安心して暮らせる生活が第一です。このままでは被害者の生活は脅かされるばかり。
1日も早い法整備を願っています。
私個人の力ではどうすることもできないのが歯がゆいですが、ストーカー被害にお悩みの方からのご相談などは常時受け付けております。お気軽にお電話を。