ストーカーリカバリーサポートの守屋です。
ストーカー被害者は加害者が逮捕されて、それで終わりではありません。
それについては以前もブログで書きましたが、ストーカー被害者が望むことはなんだろう?と考えると、やはりストーカー加害者の治療ではなかろうか、と思うのです。
ストーカー被害者が本当に安心して暮らせるためには、加害者を治療できるような体制、法整備を推し進めていくべきです。
1日でも長く刑務所に入っていて欲しい これは嘘ではない
仮にストーカー事件の被害者となってしまった場合、加害者が逮捕されたらどうでしょうか。被害者の方は「1日でも長く刑務所に入っていて欲しい、もう二度と出てこないで欲しい」と願う気持ちもわかりますし、正直な気持ちでしょう。
長い間、散々苦しめられてきて、ようやく逮捕してくれた。これで平穏な日々が戻ってくると安堵する瞬間かもしれません。
来る日も来る日も恐怖におびえて、生活スタイルはおろか、職場や引っ越しで住所まで変えなくてはいけなくなってしまった被害者の方をたくさん見ています。
被害者の方にとっては、ストーカーはただの恐怖の対象でしょう。心底憎いという気持ちは痛いほどわかります。
逮捕されたストーカーが「出てくる日」
ストーカー規制法で逮捕されたような場合では、当然接近禁止の命令は出ているでしょうし、SNSやメール、LINEでの連絡も取ってはいけないこととなっているはずです。
しかしストーカーが逮捕されても、本質的に何も変わっていなかったら、と考えると被害者はまた恐怖の日が始まる、と震え上がるでしょう。
どれだけ「二度と刑務所から出てこないでほしい!」と強く願っても、ストーカーによって殺人や傷害などを犯していなければ、いつか出てくる日がくるのです。
ストーカーが出所後に、もし「更生した」と言う話を伝え聞いたとしても、安心などできたものではありません。
本当に被害者が安心できるときは、加害者の治療
逮捕をして長く収監されていたとしても、ちゃんと変わっているのかどうか、もうストーカーをしないと約束ができるのか、そんなことは本人にしか分かりません。
さらにストーカーを衝動的に再開してしまう可能性も捨てきれません。
ストーカー被害者が真に安心できるときというのは、加害者がストーカーの治療をしっかりと受けて、根本からストーカーという病が治ったときでしょう。
しかしストーカー加害者が出所後、治療を義務化している法律はありません。自ら望んで治療を受けるストーカーもいますが、その数は半分にも届いていません。
実際にストーカー行為が再発してしまう人もいます。そのため本当に被害者が安心して暮らせるようになるためには、このようなストーカーの再販を防ぐことに尽きるのです。
ストーカーを治療するために何をすべきか
おそらく今後ストーカー事件を考える上で、最も大切なポイントとなるのがストーカーの治療です。
ストーカーを事件を起こす前に、治療できるような環境を整えて、さらに逮捕をされてしまっても、根本的な治療をさせるように法整備が必要ではないかと考えています。
まずは24時間体制でストーカー加害者が相談できる窓口を全国に設置することです。
ストーカーのカウンセリングや治療が大切だ、といくら説いたところで、こうした窓口は9時00分から17時00分まで、など短い受付時間しかないところがほとんどでしょう。
昼間は仕事をしたり、周りにサポートしてくれる方がいたりと、ストーカー行為をしていた相手への執着が少し弱まります。ですが一番孤独になりやすい夜はどうでしょう。
スマートフォンを手に持ち、なんとなく相手のSNSを見てしまったり、メールを送ってしまったりしやすい時間帯なのです。
ストーカー自身が「ストーカー行為はよくない」と自覚していても、ついついやってしまう。そんなときに一言相談できる窓口があるのは、ものすごく大切なことなんです。
もう1つは逮捕された加害者の医療機関への受診義務化です。
ストーカーの治療を勧める動きは出てきていますが、あくまで自主性に任せたものになっています。実際に治療を受けて、ストーカー行為が収まっている元加害者も多いのです。
治療といってもカウンセリングや、専門医療機関への入院など対応方法は様々です。ストーカー加害者自身は、ストーカーは病気ではない、と考えているケースも多いので余計に医療機関への受診率が低いのかもしれません。
そこでストーカー規制法違反で逮捕された場合は受診しなければいけない、というレールを作るのが大切なんです。
レールさえ作っておけば、医療機関への受診のハードルは大きく下がります。やはり自分で認めていない”病気”で、病院はかかるのは誰だって嫌なのです。ですが、医療機関への受診、通院などを義務化してしまえば「やらなきゃいけないから仕方なく来た」と病院へは足を運んで貰えるのです。
そこで治療の足がかりになる可能性だってあるわけですから、こうした法整備を急いでいただけたらと、ストーカー加害者をサポートする立場の者としては強く感じるのです。
もちろん私も手をこまねいでいるばかりではなく、ストーカー被害者のために加害者の治療を訴え続けていきたいものです。