ストーカーリカバリーサポートの守屋です。
ストーカーではない人から見ると、ストーカー加害者はやはり「異常」で「理解できない人」という印象ではないかと思います。
さてこの「異常」という線引きなのですが、実はストーカー行為を行う加害者は自分のことを異常だとは全く思っていません。
一般論で言えば明らかに異常なのですが、これに加害者本人が気付いていないのです。
電話やメール、つきまといなど
ストーカーは1日に何百件も電話をしたりメールを送りつけたり。さらには職場や生活圏内で待ち伏せ、つきまといなどを行います。
被害者が「お願いだからもうやめて!」ときちんと拒絶しても、収まりません。これがストーカーです。
一般的には「もうやめてくれ」と言われれば、相手は迷惑してるんだな、だったらやっちゃいけないんだな。と思うのが普通です。
ストーカーにはその「普通」が通用しないのです。なぜならストーカーをしている、悪いことをしているという感覚が完全に欠落しているからなんです。もしかしたら薄々分かってはいるのかもしれません。しかしそれを認められないのです。
「お前はストーカーだ」と指摘されても認めない
自分が異常ではない、と加害者本人が思っている状況で、例えば第三者から「お前はストーカー行為をしている、やめなさい」と唐突に言われると、加害者はどう思うのでしょうか。
「何言ってるんだ!?ストーカーなんてやってないじゃないか!」という答えが返ってくるでしょう。
認めたくないし、分かっていても認められないのです。そして電話やメール、つきまといがやめられないんです。
そこは本当に理屈ではありません。ストーカーの被害者が加害者に対して「拒否しても全く聞き入れてもらえない」と口々に言うのは、こういった背景があります。
とにかく話を聞いて欲しい わかってもらいたい
拒絶をされても、ずっとストーカー行為が収まらないとき、ストーカー自身は「相手を怖がらせている」という認識を持っているケースが多くあります。
それではなぜ怖がらせているストーカー行為を続けるのでしょうか。
それは「話を聞いてくれれば分かるから」「気持ちを伝えれば分かってもらえる」という一心なのです。そればかりがどんどん大きくなって、「相手が嫌がっているから付きまといはやめよう」という気持ちを押しつぶしてしまうんです。
逆に考えれば相手の嫌がる気持ちが理解できて、行動をやめられる人はストーカーにはなりえません。
加害者が自分の異常さに気付けたときは回復に向かっている
私はストーカー加害者、被害者どちらからも相談をお受けする立場です。
中にはカウンセリングや勇気づけを通して、ストーカー加害者の方がふと自分の異常さ、やってはいけないストーカー行為に気づく方がいらっしゃいます。
こうした方には「ストーカーをしている、と自分で気付いたのならば治療の方向へ向かっていますよ」とお伝えしています。
まず自分で気付かないことには始まりませんし、ストーカーをしている相手しか見えていませんので治療に意識が向けられないのです。
そこを気付かせてあげるのが、私達のような第三者の専門家の役目だと思っています。またストーカー加害者の完治に向かわせるため、医療につなげることを目的としています。
被害者は常に恐怖を抱え続けている
さて、しかしいくら加害者が更生に向かったとしても、被害者はそれで終わりではありません。
加害者にとってはストーカー行為からすっぱりを足を洗えばそれで終わりなのです。(逮捕歴などが残るケースもありますが)
しかし被害者はどうでしょうか。
毎日毎日どこからともなく監視されているかもしれない恐怖、夜も眠れぬ日々が続きます。精神的にかなり深いところまでダメージを負ってしまいますから、加害者がストーカー行為をやめたかどうかが問題ではありません。いつまで経っても怖いのです。
「思い出したくもない」これが被害者の本音
ストーカー行為をしている加害者が、まったく悪びれることなく行ったストーカー行為。それを受けた被害者。そしてストーカー行為が完治した加害者。
これでストーカーの事件は終わりを迎えているようにも思いますが、元々はストーカーの身勝手な思いや行動から始まった事柄に過ぎません。
被害者には何の落ち度もないのに、加害者が更生後もずっと恐怖と戦い続けなければならないのです。
「アイツなんて思い出したくもない、逮捕されたなら一生外に出てこないで欲しい」と思うストーカー被害者を皆さんはどう思うでしょうか。
心が狭いと思いますか?許してあげればいいのに、と思いますか?
ツライ日々を送らされたり、職場や住む場所まで奪われたようなケースもあります。被害者の方がこう思うのは当然の本音なのではないかな、と思っています。
ストーカー加害者を治療したい
元ストーカー加害者である私が言うのも滑稽な話かもしれませんが、私はストーカーの加害者を治療、更生をお手伝いしたいのです。
私のストーカーリカバリーサポートとしての活動は、ストーカー加害者のための治療ではありません。
ストーカー被害者の方が安心して日々の生活に戻れるように、被害者のための加害者治療なのです。
もしもストーカー被害に遭っている方、ストーカー行為をやめたくてもやめられない方、友人や家族がストーカーに遭っている方の力になりたい。
ストーカー行為が普通だとは到底思えないのですが、加害者はそれを普通だと信じてしまっている。だから被害者も加害者もどちらも不幸になってしまいます。
ただストーカーに悩んでいるだけでは何も始まりません。勇気を出してまず1歩踏み出してみましょう。ストーカーからの脱却、ストーカー被害から身を守るため、全力でサポートいたします。