ストーカーリカバリーサポートの守屋です。
見捨てられ不安という言葉を聞いたことがございますか?
見捨てられることに強い不安を覚える、という読んで字のごとくなのですが、この見捨てられ不安がストーカー行為と密接にかかわっている可能性もありますので、少しお話をしてみたいと思います。
大切な人に「見捨てられる!」と不安になる
見捨てられ不安とは、「大切な人に見捨てられる、と不安に思うことを指します。
これは誰でも同じだと思いますが、その「不安」を感じる強度が尋常ではないのです。
- LINEを既読スルーされた
- 電話に出てくれない
- 態度が冷たい
などがあると、嫌われてしまったのか、何が悪かったんだろう、言ってくれれば直すから話を聞きたい、と不安で不安で仕方ない衝動がグルグルと頭の中を駆け巡ります。
そしてもうじっとしていられないわけです。そこで行動を起こしてしまうんですよね。
見捨てられ不安を持つ人の行動は?
この見捨てられ不安の行動は、とにかく話を聞いてもらいたい、自分に振り向いて欲しい、とLINEやメールをとんでもない回数送ってきたり、自宅前で帰ってくるのを張り込んでいたり、とやっていることはストーカーと変わりありません。
また見捨てられ不安の症状がない人からしたら「普通」のことでも、そういうわけにはいかないんです。
例えばいつもはすぐに返事が返ってくるLINEが既読になったのにすぐに返事が返ってこない、という場合。
自分が何か悪いことをしたのかもしれないと、もうそれはそれは不安になってしまいます。
症状がない人ならば、忙しくて返信できないんだろうな、と思うでしょう。
だから何度も何度もLINEを送りつけたり、家にまで押しかけてみたりと「見捨てられるかもしれない」という不安を解消しようとする行動に出るんです。
幼少期の経験が見捨てられ不安の原因?
ネグレクトや虐待など、子どもが被害に遭う親からのこうした行動。これこそが見捨てられ不安の原因ではないかと私は考えています。
親から愛されなかった。
親に見捨てられた。
など幼少期の経験から、見捨てられることに強い不安を感じるようになってしまうんです。
これものすごくストーカーの行動に酷似しているというか、見捨てられ不安によって引き起こされる行動が、ストーカーそのものです。
いわゆるこうした見捨てられ不安やストーカー加害者ではない「普通の人」から見たら何を考えているのか分からないという風に映るでしょう。
しかし見捨てられるかもしれないという不安と恐怖から、常に人に依存してしまう心が原因です。
見捨てられ不安もストーカー加害者も、どちらも心に傷を負っています。どんなケースでも根本を治療しなければ、問題解決には至らないでしょう。
ストーカーを治療するための仕組みや施設が必要だと、これまでずっと訴えてきておりますが、こうしたストーカーと近しい症状を呈する心の病を負った方たちにも同様に治療が必要であると考えます。
今はまだこうした治療のための仕組みや施設が日本では十分ではないと思っています。
引いては被害者が心から安心して暮らせる国作りができていないとも言えます。
これ以上、見捨てられ不安からストーカー行為に走ってしまう人、また別の理由でストーカーに走ってしまう人も含めて、ストーカー加害者が治療へ向けて一歩が踏み出しやすい世の中が作られることを切に願っています。