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禁止命令は何年有効?延長の申出と、期限が近いときにできること

執筆:ストーカー・リカバリー・サポート

ストーカー規制法の「禁止命令等」の効力は、命令をした日から数えて1年です。続ける必要があると認められれば、被害を受けた人の申出か公安委員会の職権によって、1年ずつ延長できます。ただし延長は自動ではないため、期限が近づいて不安があるときは、早めに警察へいまの状況を伝えておくことが大切です。

この記事では、2026年10月時点の条文をもとに、禁止命令等の期限と延長の仕組み、期限が近いときに被害を受けている方ができること、命令を受けた本人が知っておきたいことをまとめます。身の危険が差し迫っているときは、この記事を読むより先に110番に通報してください。

禁止命令等は、何年有効ですか?

禁止命令等の有効期間は1年で、数え始めるのは「命令が出た日」です。ストーカー規制法第5条第8項は、次のように定めています。

「禁止命令等の効力は、禁止命令等をした日から起算して一年とする。」(ストーカー行為等の規制等に関する法律 第5条第8項)

禁止命令等とは、つきまとい等をした人がさらにくり返すおそれがあるときに、都道府県公安委員会が「更に反復して当該行為をしてはならないこと」や、くり返しを防ぐために必要な事項を命じるものです(同法第5条第1項)。ニュースなどでは「禁止命令」と呼ばれることが多いのですが、条文上の名前は「禁止命令等」です(同条第2項)。

よく似た措置に警察の「警告」がありますが、こちらには条文上、有効期間の定めがありません。期限がないからといって、警告がずっと強い効力を持つという意味ではなく、警告そのものに罰則はありません。

比べる点 警告(第4条) 禁止命令等(第5条)
出すところ 警視総監・道府県警察本部長・警察署長 都道府県公安委員会
有効期間 条文に定めなし 命令をした日から1年(延長あり)
従わなかったとき 警告そのものに罰則はない 違反すると罰則がある(第19条・第20条)

警告から禁止命令等までの流れや罰則の全体は、ストーカー規制法とはのページで条文とあわせて整理しています。

禁止命令等は延長できますか?何回までですか?

延長はできます。1回の延長は1年間で、その後も必要があれば同じようにくり返し延長でき、条文上、回数の上限は書かれていません。根拠は第5条第9項です。

「公安委員会は、禁止命令等をした場合において、前項の期間の経過後、当該禁止命令等を継続する必要があると認めるときは、当該禁止命令等に係る第三条の規定に違反する行為の相手方の申出により、又は職権で、当該禁止命令等の有効期間を一年間延長することができる。当該延長に係る期間の経過後、これを更に延長しようとするときも、同様とする。」(同法第5条第9項)

この条文から読み取れるポイントは次のとおりです。

  • 延長を決めるのは公安委員会です。「継続する必要がある」と認めたときに延長されます。申し出れば必ず延長される、という仕組みではありません。
  • 始まり方は2つあります。被害を受けた人からの申出と、公安委員会の職権(自らの判断)です。
  • 延長のときも聴聞が行われます。聴聞とは、処分を受ける側の言い分を聞く手続きのことで、最初に命令を出すときの規定が延長にも準用されています(同条第10項)。
  • 延長されなかったときは理由がわかります。申出をしたのに延長しなかった場合、公安委員会はその旨と理由を、申出をした人に書面で通知しなければなりません(同条第10項で準用する第7項)。
  • 延長されたときも通知があります。延長の処分をしたときは、その内容と日時が被害を受けている方に通知されます(同条第10項で準用する第6項。相手方の所在が分からないなどの場合を除く)。

延長は、どうやって申し出るのですか?

延長の申出は、「禁止命令等有効期間延長処分申出書」を出す形で受け付けられます。口頭で申し出た場合も、その申出書に記入を求めるか、警察職員が代わりに書く(代書する)形で受け付けると定められています(ストーカー行為等の規制等に関する法律施行規則 第8条)。どこに申し出ればよいかは、相談している警察署に確かめてください。

運用の一例として、大阪府警察は、有効期間が満了する前に警察から被害を受けている方に状況の確認を行い、延長が必要と認められれば、申出または職権で延長処分を行うと案内しています。ただし、すべての地域で同じ進め方とは限りません。警察からの連絡を待つだけにせず、不安があれば自分からも伝えておくほうが安心です。

期限が近づいたときに、確かめておきたいこと

  1. 期限の日付:禁止命令等が出たとき、公安委員会から被害を受けている方へ、命令の内容と日時が通知されます(第5条第6項)。通知を書面で受け取った場合はそれを手元に保管し、命令の日から1年がいつになるかを確かめておきます。分からなければ、相談している警察署に問い合わせてください。
  2. 命令が出てからの相手の様子:連絡が来た、近くで見かけた、共通の知人を通じて何か伝わってきた、など。日時と内容を記録にしておくと、警察に伝えやすくなります。
  3. 自分の生活の変化:引っ越しや転職、通勤経路の変化など、相手との接点が変わった事情があれば伝えます。
  4. いま感じている不安:命令が出てから目立ったことが起きていなくても、不安が続いているなら、そのまま伝えて構いません。延長が必要かどうかを判断するのは公安委員会です。

記録をとるために、相手に連絡をとって様子を確かめたり、二人だけで会って話をつけようとしたりするのはやめてください。かえって危険を大きくするおそれがあります。理由はストーカー被害に遭ったら、まずこれだけはで説明しています。

期限が切れたら、相手は何をしてもよくなるのですか?

なりません。禁止命令等の期限が切れても、つきまとい等で相手に不安を覚えさせることは、法律で誰に対しても禁じられたままです。

ストーカー規制法第3条は、命令の有無とは関係なく、「何人も」つきまとい等や位置情報無承諾取得等をして、相手方に身体の安全や住居等の平穏などが害される不安を覚えさせてはならないと定めています。また、つきまとい等をくり返す「ストーカー行為」そのものが犯罪で、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象です(第18条)。

期限が切れたあとに変わるのは、期限が切れたあとの行為について、その命令に違反したことを理由とする罰則(第19条・第20条)が問えなくなる、という点です。有効期間中の違反は、期限が切れても対象のままです。期限が切れたあとに再びつきまといなどが始まったときは、改めて警告や禁止命令等、検挙の対象になりえます。

  • 期限が切れたあとも、何かあれば記録を続けてください。
  • 再び連絡やつきまといがあれば、すぐに最寄りの警察署か、警察の相談専用電話 #9110 に相談してください。
  • 身の危険を感じたら、迷わず 110番 に通報してください。

命令を受けた本人は、期限までに何をすればいいですか?

まず知っておいてほしいのは、1年の期限は「連絡してよくなる日」ではない、ということです。期限が過ぎても、つきまといや、拒まれているのに連続して連絡することなどで相手に不安を覚えさせることはストーカー規制法で禁じられたままで、くり返せば罰則の対象になります。

「期限が来たら、一度だけ連絡しよう」と考えて日数を数えている状態は、気持ちがまだ相手に向いているサインかもしれません。その1年は、相手に近づかない毎日を積み重ねるための期間として使ってください。

  • 相手の連絡先やSNSを見返さない、近づかないための工夫を、いまのうちに決めておく。
  • 延長の手続きでは聴聞が行われ、意見を述べる機会があります。手続きや言い分の伝え方に不安があれば、弁護士に相談する。
  • ひとりで抑えるのが苦しいときは、早めに誰かに話す。

私たちは、警告や禁止命令を受けた方からのご相談もお受けしています。元加害者である代表との面談や、オンラインの更生プログラム、位置情報システムによる見守りなど、その方の状態に合わせた支援の内容は加害者の方へのページで紹介しています。

DVの保護命令の期限とは、どう違いますか?

DV防止法の保護命令は、ストーカー規制法の禁止命令等とは別の制度で、期限や延長の考え方も違います。保護命令は地方裁判所が出す命令で、禁止命令等のような延長の規定はありません。期限が近づいて不安があるときは、改めて申し立てられるかを含めて、裁判所・弁護士・配偶者暴力相談支援センターに相談してください。

相手が配偶者や一緒に暮らしていた交際相手の場合は、どちらの制度が当てはまるかで相談先も変わります。違いはDVの保護命令とストーカーの禁止命令の違いは?で表にまとめています。

よくある質問

Q. 延長されると、期間はまた1年になりますか?

A. はい。条文上、1回の延長は1年間です。その期間が過ぎたあとも、必要があると認められれば、同じように延長することができます(第5条第9項)。

Q. 何もしなくても、自動で延長されますか?

A. 自動ではありません。延長は、被害を受けた人の申出か公安委員会の職権によって、公安委員会が「継続する必要がある」と認めたときに行われます。不安があるときは、期限が近づく前に警察へ伝えてください。

Q. 警察の「警告」にも期限はありますか?

A. ストーカー規制法の条文には、警告の有効期間の定めはありません。警告のあとに再びつきまといなどがあれば、禁止命令等の対象になることがあります。禁止命令等は、被害を受けた人が警察に申し出ることもでき、警告を経ずに出されることもあります。

Q. 延長の申出は、本人でなければできませんか?

A. 条文上、延長の申出をするのは、つきまとい等を受けた「相手方」です。ただし、申出がなくても、公安委員会が職権で延長することもあります(第5条第9項)。手続きの進め方に不安があるときは、相談している警察署や弁護士に相談してください。

期限が近づいて、ひとりで不安なときは

命令の期限が近づくと、「切れたらまた始まるのでは」と落ち着かなくなるのは自然なことです。逆に、命令を受けた側にとっても、期限は気持ちが揺れやすい時期です。

私たちストーカー・リカバリー・サポートは、元ストーカー加害者である代表が立ち上げた団体で、被害に遭っている方のご相談と、やめたいのにやめられない加害者本人・ご家族のご相談を、同じ窓口でお受けしています。ご相談のなかで必要と判断した場合は、顧問弁護士へのおつなぎや警察への同行も行っています。当団体から加害者へ直接働きかけることはしません。加害者への対応が必要な場合は、弁護士を通して行います。

電話・メールとも24時間受け付けています。期限のことでも、それ以外のことでも、お問い合わせから、いまの状況をお聞かせください。

※ 条文の出典:e-Gov法令検索「ストーカー行為等の規制等に関する法律」(平成12年法律第81号)、e-Gov法令検索「ストーカー行為等の規制等に関する法律施行規則」。運用の例:大阪府警察「ストーカー相談の流れ」。個別のケースの判断は、警察や弁護士にご相談ください。

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