子どもや学生がつきまといに遭ったとき、保護者がまずすることは、本人を責めずに話を聞くこと、記録を残すこと、学校と警察に早めに伝えることの3つです。身の危険が差し迫っているときは、何より先に110番に通報してください。
2025年12月30日に施行されたストーカー規制法の改正で、被害を受けている人が通う学校の長(校長など)も、その人への援助に努める立場として法律に書き込まれました。この記事では、2026年10月時点の条文と国の資料をもとに、保護者と学校がそれぞれ何をすればよいかを順番にまとめます。
子どもがつきまといに遭ったとき、保護者はまず何をすればいいですか?
最初の数日は、子どもの安全を確保しながら、あとで警察や学校に伝えるための材料を残すことに集中してください。次の順番で考えると、慌てずに動けます。
- 危険が差し迫っていないか確かめる:相手が近くにいる、家の前で待っている、危害を加えると言われている、といった状況なら、迷わず110番に通報します。
- 責めずに話を聞く:「どうして連絡先を教えたの」「なぜもっと早く言わなかったの」といった言葉は、子どもが次から話さなくなるきっかけになりかねません。まずは話してくれたことを受け止めてください。
- 記録を残す:いつ・どこで・何があったか、相手の服装や様子、届いたメッセージの画面。連絡の履歴や写真は消さずに残しておきます。
- 相手が知っている人なら、会わずに拒絶を伝える:いきなり着信拒否やブロックをするより先に、「もう連絡しないでください」とはっきり伝えます。子ども本人が伝えるのが怖ければ、直接会わずに、保護者など第三者を通じて伝えても構いません。
- ひとりになる時間を減らす:登下校や塾の行き帰りなど、相手と出会いやすい時間帯に、しばらく大人や友人が一緒にいられるよう工夫します。
- 学校と警察に伝える:学校には登下校や校内での見守りを、警察にはこれまでの経過と今後の対応を相談します。相手が教職員や同じ学校の人のときは、学校の誰に伝えるかを先に警察と相談してください(くわしくは次の見出し以降で説明します)。
保護者が相手のもとへ出向いて問い詰めたり、子どもに「一度会ってはっきり断ってきなさい」と言ったりするのは避けてください。二人だけで会うことや、怖さのあまりいきなり連絡を断つことは、かえって危険を大きくするおそれがあります。断り方の順番はストーカー被害に遭ったら、まずこれだけはで説明しています。
相手がスマートフォンの位置情報を使っているのではと気になるときは、スマホの位置情報が共有されていないか確認する方法もあわせて確かめてください。
学生へのつきまといも、ストーカー規制法の対象になりますか?
対象になりえます。ストーカー規制法は、つきまといや待ち伏せをする場所の例として、条文に「学校」をはっきり挙げています。
同法第2条第1項第1号は、「つきまとい等」の一つとして、「つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居、勤務先、学校その他その現に所在する場所若しくは通常所在する場所(以下「住居等」という。)の付近において見張りをし、住居等に押し掛け、又は住居等の付近をみだりにうろつくこと」を挙げています。
- つきまとい等:恋愛感情などの好意や、それが満たされなかった恨みを晴らす目的で、相手やその家族などに対して行う、条文に書かれた行為のこと(第2条第1項)。拒まれたのに連続してSNSのメッセージを送ることなども含まれます(同項第5号・第2項)。
- ストーカー行為:つきまとい等(一部の行為は、不安を覚えさせるような方法で行われた場合に限る)や位置情報の無承諾取得等を、同じ人に対してくり返すこと(第2条第4項)。1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象です(第18条)。
第3条は、「何人も」つきまとい等をして相手に不安を覚えさせてはならないと定めており、相手が同じ年代の学生であっても、この決まりの外に置かれるわけではありません。ただし、恋愛感情などが目的でないつきまといは、この法律ではなく、別の法律や都道府県の条例(迷惑防止条例など)で扱われることもあります。当てはまるかどうかの判断は、警察や弁護士にご相談ください。
学校には、何を伝えて、何をお願いできますか?
学校には、子どもの安全に関わる範囲で事情を伝え、登下校や校内での見守り、個人情報の扱いについて相談できます。法律上も、学校の長は被害を受けている子どもへの援助に努めるものとされています。
「ストーカー行為等が行われている場合には、当該ストーカー行為等が行われている地域の住民並びに当該ストーカー行為等の相手方を雇用する者及び当該相手方が就学する学校の長は、当該相手方に対する援助に努めるものとする。」(ストーカー行為等の規制等に関する法律 第9条第3項)
「努めるものとする」は努力義務と呼ばれ、具体的に何をするかまでは条文に書かれていません。学校ごとに対応できることは違うため、次のような点を一つずつ相談してみてください。なお、相手が教職員や同じ学校の人のときは、学校の誰に伝えるかを、先に警察とも相談してから決めてください。
| 学校に伝えたいこと | 相談したいこと(例) |
|---|---|
| いつから、どんなことが起きているか | 担任・学年・管理職など、誰にどこまで共有するか |
| 相手について分かっていること | 相手が学校の近くや校内に来たときの連絡の仕方 |
| 登下校の時間や経路 | 下校時間の調整や、見守りをお願いできるか |
| 住所・連絡先・時間割などの情報 | 問い合わせがあっても外部に伝えないでほしいこと |
| 子どもの様子(眠れない、登校がつらいなど) | スクールカウンセラーなど、学校で話せる場があるか |
政府の「ストーカー総合対策」(2026年7月28日改訂 ストーカー総合対策関係省庁会議)も、被害者が通う学校や、被害者の子どもが通う学校で、加害者に被害者の居所が知られないよう十分に配慮することが安全の確保に重要だとして、広報啓発を進めるとしています。学校に相談するときは、この点もはっきり伝えておくと安心です。
警察には、どこに・どう相談すればいいですか?
緊急のときは110番、緊急ではないけれど相談したいときは、警察の相談専用電話 #9110 か最寄りの警察署です。子どもだけで抱えさせず、保護者も一緒に相談してください。
| 連絡先 | 使う場面 | 知っておきたいこと |
|---|---|---|
| 110番 | いま危険が迫っている | 迷わずかける |
| #9110 | 緊急ではないが、警察に相談したい | かけた地域を管轄する警察本部などの相談窓口につながる。受付は平日8時30分から17時15分(都道府県警察本部ごとに異なる)。土日・祝日や時間外は、一部の県警を除き当直または音声案内で対応。ダイヤル回線や一部のIP電話からは使えないため、その場合はお住まいの都道府県の警察総合相談電話番号へ |
| 最寄りの警察署 | 直接出向いて相談したい | 記録や画面の写しを持っていくと伝えやすい |
政府広報オンラインの「警察に対する相談は警察相談専用電話「#9110」番へ」によると、相談の内容によっては、少年を対象とした警察の専用相談窓口などを紹介されることもあります。
ストーカー規制法では、警察は被害を受けた人の申出によって、または職権で、相手に「更に反復して当該行為をしてはならない」と警告することができます(第4条第1項)。警告や禁止命令などの全体の流れはストーカーは、どこに相談すればいいのかで整理しています。
私たちには、どんなことを相談できますか?
私たちストーカー・リカバリー・サポートは、元ストーカー加害者である代表が立ち上げた団体です。被害を受けている方とそのご家族、そして、やめたいのにやめられない加害者本人とそのご家族のご相談を、同じ窓口でお受けしています。
- 電話・メールとも24時間受付。「これは相談していいことなのか」の段階で構いません。
- ご希望があれば、警察署への相談に同行します。
- ご相談をお受けしたなかで必要と判断した場合は、顧問弁護士や連携している医療機関へおつなぎします(おつなぎに別途の費用はかかりません)。
- 相談の費用はご相談の費用のページでご案内しています。
当団体から相手に直接連絡したり、働きかけたりすることはしません。相手への対応が必要な場合は、弁護士を通して行います。ご家族としての関わり方はご家族の方へのページでも紹介しています。
よくある質問
Q. 子どもが「大ごとにしないで」と言っています。それでも学校や警察に伝えるべきですか?
A. 恥ずかしさや、友人関係が変わることへの不安から、そう言う子どもは少なくありません。気持ちは受け止めたうえで、安全に関わることは大人が動く必要があると伝えてください。学校に伝える範囲や、警察に相談するときの同席者などは、子どもと一緒に決めていくと話しやすくなります。
Q. 学校に伝えると、相手やほかの生徒に知られてしまいませんか?
A. 誰にどこまで共有するかは、相談するときに学校と決めておくことができます。住所や時間割などを外部に伝えないでほしいことも、はっきり伝えてください。対応の仕方は学校によって異なるため、不安な点はその場で確かめておくと安心です。
Q. 相手も未成年のときは、警察に相談できますか?
A. 相談できます。ストーカー規制法第3条は「何人も」と定めており、相手の年齢で相談をためらう必要はありません。その後どのような手続きになるかは、年齢や事情によって変わるため、警察の判断になります。
ひとりで抱えず、早めに相談してください
子どもが被害に遭っていると分かったとき、保護者が自分を責めたり、どう動けばよいか分からなくなったりするのは自然なことです。全部を一度に決めなくて構いません。まずは安全を確保し、記録を残し、学校と警察に伝えるところから始めてください。
どこに何を話せばいいか迷うときは、お問い合わせから、いまの状況をそのままお聞かせください。
※ 出典:e-Gov法令検索「ストーカー行為等の規制等に関する法律」(平成12年法律第81号。第9条第3項は令和7年法律第83号による改正で2025年12月30日施行)、ストーカー総合対策関係省庁会議「ストーカー総合対策」(2026年7月28日改訂・警察庁ウェブサイト)、政府広報オンライン「警察に対する相談は警察相談専用電話「#9110」番へ」。警察庁・政府広報オンラインの内容は、ストーカー・リカバリー・サポートが要約・編集して掲載しています。個別のケースの判断は、警察や弁護士にご相談ください。