Column

  • ブログ

ネットに中傷を書かれたら|記録の残し方と削除・開示の相談先

執筆:ストーカー・リカバリー・サポート

ネットにうわさや中傷を書かれたとき、最初にすることは書き込みが消える前に記録を残すことです。そのうえで、消してほしいならサイトへの削除依頼や公的な相談窓口へ、書いた人を特定して責任を問いたいなら弁護士へ相談する、という順番で考えると迷いにくくなります。住所をさらされた、危害を加えると書かれたなど、身の危険を感じるときは、何より先に110番に通報してください。

この記事では、2026年10月時点の警察庁・法務省・総務省の案内と法律の条文をもとに、記録の残し方から、削除の依頼、発信者情報の開示までの流れを順番にまとめます。

ネットに中傷を書かれたら、まず何をすればいいですか?

まずは記録を残し、そのあとで「消してもらう」「書いた人に責任を問う」のどちらを目指すかを考えます。慌てて動くより、次の順番を意識してください。

  1. 危険が差し迫っていないか確かめる:住所や勤務先がさらされて身の危険を感じるときや、待ち伏せや危害をほのめかす書き込みがあるときは、迷わず110番に通報します。
  2. 記録を残す:書き込みは、書いた本人が消したり、アカウントがなくなったりして見られなくなることがあります。削除を頼む前に、まず記録です(くわしくは次の見出しで説明します)。
  3. 目指すことを決める:書き込みを消してほしいのか、書いた人を特定して損害賠償や処罰を求めたいのかで、相談先が変わります。
  4. ひとりで抱えず、相談先につなぐ:削除の方法は公的な相談窓口で助言を受けられます。未成年の方は、保護者や学校の先生など信頼できる大人と一緒に進めてください。書いた人の特定や法的な手続きは、弁護士への相談が中心になります。

書き込んだのが元交際相手など心当たりのある人で、直接の連絡やつきまといも続いているときは、ネットの書き込みだけの問題ではありません。相手と二人だけで会って話をつけようとしたり、いきなり連絡を断ったりすると、かえって危険を大きくするおそれがあります。断り方の順番はストーカー被害に遭ったら、まずこれだけはで説明しています。

書き込みの記録は、どう残せばいいですか?

警察庁は、ページを印字したうえで、サイトの名称、URL、書き込み者、書き込み日時、内容などを記録するよう案内しています。削除の依頼や、関係機関・警察への相談のときに必要になるためです。

記録しておくこと 残し方の例
サイトの名称 SNS・掲示板・ブログなどのサービス名をメモする
URL 書き込みそのもののURL(個別の投稿のURL)を控える
書き込み者 表示されている名前やアカウントのID
書き込み日時 画面に表示されている投稿の日時
内容 画面の印字や画面の画像で、前後の流れも含めて残す

画面の画像だけだと、どのページのものか後から分からなくなることがあります。URLと日時が一緒に分かる形で残し、自分がいつ記録したかもメモしておくと、相談先に説明しやすくなります。書き込みが増えていくときは、見つけた順に一覧にしておくと整理しやすくなります。

ネットの中傷も、ストーカー規制法の対象になりますか?

恋愛感情や、それが満たされなかった恨みから書き込まれている場合は、ストーカー規制法の「つきまとい等」にあたることがあります。そうでない中傷でも、内容によっては名誉毀損罪や侮辱罪などの刑事責任を問われる場合があります。

ストーカー規制法第2条第1項は、恋愛感情その他の好意の感情またはそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で行う行為の一つとして、次のものを挙げています。

「その名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。」(ストーカー行為等の規制等に関する法律 第2条第1項第7号)

  • つきまとい等:上の目的で、相手やその家族などに対して行う、条文に書かれた行為のこと(第2条第1項)。名誉を害する事項を本人が知り得る状態に置くことも、その一つです。
  • ストーカー行為:つきまとい等(一部の行為は、不安を覚えさせるような方法で行われた場合に限る)や位置情報無承諾取得等を、同じ人に対してくり返すこと(第2条第4項)。1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象です(第18条)。

警察庁の「インターネット上の誹謗中傷等への対応」も、誹謗中傷を書き込めば、内容によって名誉毀損罪や侮辱罪等の刑事責任を問われる場合があるとしています。相手の処罰を望むときは、最寄りの警察署に相談します。その際は、記録を持参し、事前に電話で日時を調整しておくと相談がスムーズに進むと案内されています。

ただし、どの法律にあたるか、処罰の対象になるかは、書き込みの内容や相手との関係によって変わります。判断は警察や弁護士にご相談ください。

書き込みを消してもらうには、どこに頼めばいいですか?

まずはその書き込みがあるサイトの削除依頼の窓口を確認します。自分で頼むのが難しいときや、方法が分からないときは、公的な相談窓口で助言を受けられます。書いた人に心当たりがあり、依頼したことを相手に知られるのが怖いときは、先に下の「書いた人を特定したいときは」の最後の注意もお読みください。

頼む先・相談先 できること
書き込みがあるサイト サイトごとに決められた削除依頼の方法(お問い合わせフォームや、管理者へのメールなど)で、自分で削除を依頼する。管理者に連絡が取れないときは、そのサイトが利用するプロバイダやサイト管理者に依頼する
違法・有害情報相談センター(総務省の委託事業) 専門知識のある相談員が、自分で行う削除依頼の方法などを助言する。相談はウェブのフォームから受け付け
法務局(法務省の人権相談) 削除依頼の方法の助言に加え、事案に応じて、法務局がプロバイダなどへ削除を要請する。電話は「みんなの人権110番」0570-003-110(最寄りの法務局につながる)
誹謗中傷ホットライン(一般社団法人セーファーインターネット協会) 連絡を受け付け、国内外のプロバイダなどに、利用規約に沿った削除などの対応を促す通知をする(相談対応はしていない)

法務省人権擁護局は、自分で削除を依頼したい人向けに「インターネット上の誹謗中傷書き込み削除依頼の手引き」や削除依頼メールのテンプレートを公開しています。

また、2025年4月1日に改正法が施行され、これまでの「プロバイダ責任制限法」の名前が「情報流通プラットフォーム対処法」(特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律)に変わりました。この法律では、総務省が指定した大規模なプラットフォーム事業者に、削除の申出を受け付ける方法を定めて公表すること(第22条)や、申出があったときに遅滞なく必要な調査を行うこと(第23条)などが義務づけられています。総務省のページによると、X、Instagram、Facebook、YouTube、TikTok、Yahoo!知恵袋、Amebaブログなどのサービスの事業者が指定されています。

書いた人を特定したいときは、どうすればいいですか?

匿名の書き込みでも、法律で定められた条件を満たせば、プラットフォーム事業者などに書いた人の情報の開示を求められる仕組みがあります。手続きは専門的なため、弁護士への相談が中心になりますが、違法・有害情報相談センターでも、書いた人を特定するための手続きについて助言を受けられます。

  • 発信者情報の開示請求:書き込みによって自分の権利が侵害されたことが明らかで、損害賠償を求めるために必要な場合など、開示を受けるべき正当な理由があるときに、事業者が持っている書いた人の情報の開示を求めること(情報流通プラットフォーム対処法 第5条)。
  • 発信者情報開示命令:裁判所が、申立てを受けて、事業者に書いた人の情報の開示を命じる手続き(同法 第8条)。総務省は、これを一体的な手続きで開示できるようにしたものと説明しています。

開示が認められるか、書いた人までたどり着けるかは、書き込みの内容や残っている情報によって変わります。損害賠償の請求まで考えているときは、記録を持って早めに弁護士に相談してください。

書いた人に心当たりがある場合は、気をつけたいことがあります。発信者情報の開示請求では、事業者は原則として書いた人に意見を聴くことになっており(情報流通プラットフォーム対処法 第6条)、削除の申出でも、調査のために事業者が書いた人の意見を聴くことがあります(同法 第25条第2項)。相手に知られることで危険が大きくなりそうなときは、自分で動く前に警察や弁護士に相談してください。

私たちには、どんなことを相談できますか?

私たちストーカー・リカバリー・サポートは、元ストーカー加害者である代表が立ち上げた団体です。被害を受けている方とそのご家族、そして、やめたいのにやめられない加害者本人とそのご家族のご相談を、同じ窓口でお受けしています。

  • 電話・メールとも24時間受付。「この書き込みはストーカーにあたるのか」が分からない段階で構いません。
  • ご希望があれば、警察署への相談に同行します。
  • 面談や電話相談でお話をうかがったなかで必要と判断した場合は、顧問弁護士や連携している医療機関へおつなぎします(おつなぎに別途の費用はかかりません)。
  • 相談の費用はご相談の費用のページでご案内しています。

当団体から書き込んだ相手に直接連絡したり、削除を求めたりすることはしません。相手への対応が必要な場合は、弁護士を通して行います。

よくある質問

Q. 書き込みがもう消されてしまいました。相談しても意味はありませんか?

A. 意味がないとは限りません。消える前に残した画面の印字や画像、URLのメモがあれば、それを持って相談してください。記録が手元にない場合も、いつごろ、どのサイトに、どんな内容が書かれていたかをメモにして相談先に伝えます。

Q. 自分で削除を頼むのが怖いときは、どうすればいいですか?

A. 法務局の人権相談では、削除依頼の方法について助言を受けられるほか、事案に応じて法務局がプロバイダなどに削除を要請します。書いた人の特定や損害賠償まで考えている場合は、弁護士に相談してください。

Q. 相手が元交際相手だと分かっています。警察に相談できますか?

A. 相談できます。緊急のときは110番、緊急ではないけれど相談したいときは警察の相談専用電話 #9110(受付は原則として平日の日中で、都道府県によって異なります)か最寄りの警察署です。書き込みのほかに連絡やつきまといもあるなら、その記録も一緒に持っていってください。相談先の選び方はストーカーは、どこに相談すればいいのかで整理しています。

ひとりで抱えず、早めに相談してください

自分についての書き込みを何度も見返してしまい、眠れなくなったり、外に出るのが怖くなったりするのは、おかしなことではありません。全部を一度に片づけなくて構いません。まずは記録を残し、目指すことを決め、相談先につなぐところから始めてください。

どこに何を話せばいいか迷うときは、お問い合わせから、いまの状況をそのままお聞かせください。

※ 出典:警察庁「インターネット上の誹謗中傷等への対応」、法務省「インターネット上の人権侵害をなくしましょう」、総務省「インターネット上の違法・有害情報に対する対応(情報流通プラットフォーム対処法)」、e-Gov法令検索「ストーカー行為等の規制等に関する法律」(平成12年法律第81号)、e-Gov法令検索「特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律」(平成13年法律第137号)、政府広報オンライン「警察に対する相談は警察相談専用電話「#9110」番へ」。各省庁の内容は、ストーカー・リカバリー・サポートが要約・編集して掲載しています。個別のケースの判断は、警察や弁護士にご相談ください。

Contact

記事にしていないことのほうが、多いです

いま抱えていることを、そのまま聞かせてください。加害者の方も、被害者の方も、そのご家族も、同じ窓口でお受けします。

24時間受付電話・メールとも24時間受け付けています。

身の危険が差し迫っているときは、まず110番に通報してください。

この電話番号とお問い合わせフォームはご相談専用です。営業・勧誘のご連絡はお断りしています。

電話 メール