連絡を断ち、相手の生活圏にも近づかなくなり、「自分はもう大丈夫だ」と思えるようになった。
それなのに、ある夜ふと相手のSNSを開いてしまい、気づけば何時間も画面を見つめていた――。
ストーカー行為からの回復で本当に難しいのは、「やめること」よりも「やめ続けること」です。今回は、回復の途中にいる方に向けて、再発について書きます。
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- 「吹っ切れたはず」が崩れる瞬間
人の執着は、ある日を境にきれいに消えてなくなるものではありません。
落ち着いていた気持ちが、ふとしたきっかけでぶり返す。これは回復の途中で、ごく普通に起こることです。回復は一直線には進みません。三歩進んで二歩下がるような日々の中で、少しずつ波が小さくなっていく――それが実際の回復の姿です。
大切なのは、ぶり返した自分を「結局ダメだった」と全否定しないことです。揺り戻しの波には必ずきっかけがあり、きっかけが分かれば、事前に備えることができます。
- 再発の引き金は日常に潜んでいる
・眠れない夜に開いたSNSで、相手の近況が目に入ってしまった
・誕生日や記念日が近づいた、ふたりで行った場所の前を通った
・仕事の失敗や孤独感など、別のストレスが重なった
・お酒が入って、心のブレーキが緩んだ
引き金の多くは、特別な出来事ではなく日常の中にあります。しかも、心や体が疲れているときほど、引き金は強く作用します。
自分にとっての引き金を知っておくだけでも、波が来たときに「今の自分は危ない状態だ」と一歩引いて気づけるようになります。この「気づける」かどうかが、再発するかしないかの大きな分かれ目になります。
- 意志の力だけで耐えようとしない
再発を防ごうとするとき、多くの人は「強い気持ちで我慢する」ことを選びます。
しかし、我慢だけに頼る方法は長続きしません。意志の力は、疲れているとき、落ち込んでいるときほど弱るからです。そして衝動は、決まって心が弱った時間にやってきます。
必要なのは、意志ではなく「仕組み」です。
相手の情報が目に入らない環境を整える。危ない時間帯に連絡できる相手を決めておく。衝動が来たときに取る行動を、あらかじめ紙に書いておく。夜はスマホを寝室に持ち込まない、といった物理的な距離の工夫も有効です。
ひとつひとつは小さな工夫ですが、積み重ねることで、波をやり過ごせる確率は大きく変わります。
- 回復は「やめた日」がゴールではない
ストーカー行為をやめた日は、ゴールではなくスタートです。
強い執着の背景には、孤独や自己否定、人に依存しやすい心の癖など、その人なりの根っこがあります。根っこに向き合わないまま行動だけを止めても、苦しさが別の形で噴き出してしまうことがあります。
逆に言えば、根っこと向き合う回復の時間は、ストーカー行為をやめるためだけの時間ではありません。これからの人生そのものを立て直す時間になります。そしてその時間は、ひとりで歩くよりも、伴走してくれる存在がいたほうが続けやすくなります。
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